ハムノイズが発生していたのを解消する為にアンプ専門ショップに送っていたB-15Sのヘッドアンプが修理を終えて戻ってきました。

 やはりハムノイズの原因は電源部の整流用電解コンデンサーでした。ショップがチェックした時点ではコンデンサーの容量抜けは1個のみだったのですが、他のコンデンサーも早晩寿命を迎える事になるので、ショップのアドバイス通りに全ての電解コンデンサーを交換していただきました。

IMG_7302.jpg 返却された元の合計8個のコンデンサーです。(実際はこれ以上の個数が交換されていました)これらは40年前のコンデンサーですので、現在は同メーカー・同形状のものは入手ができなくて、規格が同等のもので交換となっています。


 下の画像の左が修理前、右が修理後のアンプシャーシ内部の画像です。見える範囲では黄色の星印でマークしたコンデンサーが交換されています。パッと見でも分かるように現在のコンデンサーは元のものより同規格でも小振りになっているので、シャーシ内部がスッキリとしています。

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 コンデンサーの固定支持金具にはショップの手製も含まれていたり、コンデンサーがシリコンコーキングで固定されていたりと、ショップのアンプ修理へのスキルの高さが垣間見えます。(このショップとのメールでのやりとりで、今回のB-15Sを含めて多くのAmpegの真空管ベースアンプの修理実績があるのが分かり、安心して修理依頼をしています。)

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 修理後の出音のチェックでは、気になっていたハムノイズはほとんど消えていましたが、ほんの僅かながら残っていました。これはコンデンサーとは別な要因ですので今回の修理ではこれで良しとします。古い真空管アンプでノイズゼロを望むのが間違いだという事で・・・。

 またハムノイズの原因だった整流用の電解コンデンサーだけでなく、他の電解コンデンサーも将来の不安の解消の為に交換したので出音(音質)への影響を懸念したのですが、修理後のスピーカーから聞こえるベース音そのものには何も変化が無いように感じます。

 このB-15Sは自宅での練習がメインの使用となっているのですが、これまでのベースを弾いていない時に気になっていたハムノイズが激減したので、ストレスフリーで練習する事ができるようになっています。
 ポットとジャックを洗浄してガリ音はなくなったのですが、スタンバイスイッチをプレイモードにしたらブーンというハムノイズが発生する原因を探る為に真空管をチェックしました。

IMG_6906.jpg 2個のトランス間にあるパンチングメタルのカバーを取り外すと、そのスペースに全ての真空管が収まっています。上右の2本の12AX7がプリの2chインプットの初段の増幅、上左の12DW7が次段の増幅管でここまでがプリ部です。中の12AU7はブースト管、そして下の2本の7027Aがパワー管となります。


 見た目には全ての管のヒーターが灯り、問題は無さそうですが、一応全ての真空管をアンプシャーシから抜き取ってチェック&クリーニングを行いました。

IMG_7397b.jpg クリーニング後に左→右へと入力→出力順に真空管を並べて、画像には印字から読み取った品番を記しています。


 その内で共にPhilips社製の12AX7WAと7027Aには、それぞれ8739と8713の製造年と週の印字があり1987年に製造された真空管と分かりました。

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 先の記事のシャーシ内のポットの刻印でこのB-15Sは1978年製造と分かっているので、製造から9年後の1987年におそらくは初めてとなる真空管交換が行なわれたものと思います。徐々にこのB-15Sが歩んできた“歴史”が分かってきました。

 このB-15Sを譲っていただいた方にお聞きしたところ、その方のお父様がかなり以前に中古で入手されて、しばらく使われた後に現在まで長期間保管されていたとの事ですから、私が3オーナー目となります。外観がそれほど傷んでいないのはこれまでのオーナーの少なさを示しています。



 真空管をクリーニングしてシャーシに戻してもブーンと言うハム音は変わりなかったので、私がこれ以上できる対応は真空管の交換となります。合計6本の真空管で回路が構成されているのですが、内3本は同規格・同品番のものをストックしているので、新規購入したのは3本となります。

IMG_7308.jpg 箱で説明すると、左が電圧増幅管のECC832(12DW7と同仕様)が1本、そして右のパワー管が2本の7027Aで、共にJJ Electronic社製のものをチョイスしました。12DW7は1本の内部で12AX7と12AU7の二つの特性をもった複3極管という特殊な管なので選択肢が少なくて、このJJ製にしています。又、JJの管は出音が明るめというイメージを私が持っており、そこを狙った理由もあります。


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 全ての真空管を交換後の出音のチェックでは、これまでの音質から少し明るめのものに変化しているのが分かりました。1本ずつ差し替えてのチェックは行っていないので、どの真空管が影響しているのかは分からないのですが、旧い真空管の“ヘタリ”が解消され、そしてJJの管に因り、明るめの出音となったと感じています。元の真空管はまだまだ使用可能なのですが、30年前のものなので大切にストックしておきます。

 そして気になる真空管交換後のハムノイズですが・・・、まだ残っていました(汗)。予想はしていたのですが、かくなる上は電源部の整流用の電解コンデンサーの不良と思われるので、ここからはアンプ専門ショップで対応していただく事になります。
 さて、これからは入手したB-15Sを“使える一台”に仕上げていきます。先ず出音を云々いう前に全てのツマミ(=ポット)とジャックに発生していたガリ(接触不良)を解消する必要がありました。

IMG_6914.jpg ポットの取り付け位置にアクセスする為には、アンプのカバー類を取り外す必要があります。先ずは2個のトランス間にあるパンチングメタルのカバーを取り外すと、そこのスペースに全ての真空管が収まっていました。


IMG_6917.jpg そのスペースの底のプレートを外すと、「うわっ、汚い!」プリント基板にはホコリが溜まり、抵抗の足はなんだか錆っぽいです。右のトランスの足元には黒い粒があり「まさか○○ブリの○ン?」と思いきや、よく見れば右側の出力トランスのメタルカバーに塗布された結晶塗装が劣化して落ちていたのでした。


IMG_6919.jpg シャーシ裏側の画像です。特にコンデンサーの液漏れや、焼け焦げたような跡は見受けられません。


 でも何か不自然な箇所に黒いコンデンサーらしきものがあるなと思い、触ったらポロッと取れました。これは紛れもなく“○○ブリの卵”でした(汗)。チェック後にはブラシとエアスプレーでホコリを除去しておきました。

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 シャーシの底板には回路図のプリントが貼ってあり、そこには74年の作図との記載がありました。

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 ネットで拾った71年の回路図(左)には電源スイッチ部(回路図の右下辺り赤丸)にポラリティースイッチが付いているのですが、入手したB-15Sの回路図(右)にはスイッチがありません。この事から70年初期に製造開始されたB-15Sが74年にマイナーチェンジを受けた事が分かりました。この時にスイッチ自体もメタルのトグルスイッチから白樹脂のロッカースイッチに変わっています。

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IMG_6943.jpg ガリの解消の為にシャーシから6個のポットを半田を溶かして取り外しました。ツマミは7個あるのですが、1個はレスポンス選択ツマミで内部は回路切り替え用のロータリースイッチなので、これは取り外していません。上右の回路図下にも『ロータリースイッチの油を除去してはならない』との特記がありましたので。


IMG_6946.jpg 取り外した全てのポットを分解して内部の洗浄を行いました。この際もポットハウジングに付着したグリスは、ツマミの回転トルクが変わるので除去していません。


IMG_6949a.jpg ポットハウジングの刻印を確認しました。全てが1MΩの直流抵抗値で、137-7811からはCTS社1978年第11週目製造と読み取れます。よって、このB-15Sアンプは1978年製(満40才)と分かりました。上記の回路図から推測した1974年のマイナーチェンジとも整合性があります。


 インプットジャックのクリーニングを行い、接触不良を無くしました。ワッシャーに発生していた錆も落としています。少しの事なのですが、全体の仕上がりがグッと綺麗になります。

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 ポット、そして入力ジャックの洗浄後のチェックでは、これまでの醜かったガリ音が無くなったのが確認できました。ただし、ガリが無くなり出音がはっきりと聞き取れるようになった結果、出音自体は好みのものだったのですが、電源スイッチを投入後にスタンバイスイッチをプレイモードにしたら、ブーンというハムノイズがスピーカーから聞こえてきました。これも解消する必要があります。
 スピーカーキャビネットの外観は70年代の製品という歴史を感じるものですが、ボロボロではないので、クリーンアップすればそこそこの見栄えにはもっていけそうです。

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IMG_6841.jpg 金属パーツには錆があります。壊れやすい天板固定のラッチ金物は4ヶ所共にスムースに動作しています。このラッチ金物は60年代のB-15Nから90年代のB-15Tまで同じパーツで、現在も新品をe-Bayで入手可能です。

 四隅のコーナー金物は釘打ち、ラッチ金物は釘・ビス併用で、どちらも取り外しが出来ないために、錆落としには苦労しそうです(汗)。


IMG_6858.jpg アンプ出力からのインプットプレートには“B-15S”の品名、“8 OHMS”の直流抵抗値、シリアルナンバー等の記載があります。アンプからのスピーカーケーブル先端のプラグは樹脂のモールドで、この時代(70年代)を感じさせてくれます。


IMG_6863.jpg キャビネット裏の底部に外皮ビニールシートの大きな剝がれがあります。目立つダメージはこの箇所くらいです。台車は手持ちのものでオリジナルではありません。


IMG_6835.jpg 15インチ一発のスピーカーにはコーン紙の破れやエッジの劣化も無くてまだまだ使えそうです。スピーカー取り付けビスが1本欠品しています。


 バスレフポート出口はトップを曲面加工した木材にアルミシートが貼ってあります。台所の油汚れ防止シートのようですが、これでオリジナルです。この部分は上向きでホコリが蓄積し易く、かつグリルネットの裏側になるので掃除が行き届いていなくて、かなり汚い状態です。

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IMG_6884.jpg キャビネット内部には吸音の為の黄色のグラスウールと白のウレタンスポンジが混在していますが、グラスウールのみがオリジナルです。それにしても内部の補強材が凄いですね。たかだか60W出力のアンプ用のキャビネットなのですが、ここまでの補強材が入ったものは初めてみました。どおりで重たい筈です。これよりも古い60年代のB-15Nの内部はもっとシンプルな構造です。

 アンプヘッドを取り外した状態でのキャビネットの移動は、この斜めに入れられた補強材を掴んで行っています。その意味では便利ですね(笑)。


IMG_6890.jpg スピーカーの入力端子部にはスピーカーケーブルの導線が捩って結線されていますが、これは当然ですが後加工です。現況のスピーカーについては後の記事で詳細を説明しますが、おそらくはオリジナルなので端子接続されていた筈ですが、一時期別のスピーカーが配線の直接続で取り付けられていて、それを元に戻す際にこのような結線になったものと推測します。上記のスピーカー取り付けビスの欠品もその際と思われます。


 以上、先の記事のアンプヘッドも含めて、入手時の状態からすると、今後色々と手を加える必要がありそうで、なかなか楽しめせてくれそうな予感でいっぱいのこのAmpeg B-15Sです(笑)。
 例年通りなのですが、GW後半は東京で過ごしました。今回はすわべさんと二人で楽器屋巡りを行い、途中ではshinmei_tさん宅にお邪魔しました。

 shinmei_tさんのベースコレクションは、前回お邪魔した時よりも所謂ハイエンド系のベースが減り、60~70年代のヴィンテージ系と国産の上物という内容になっていました。それにしてもshinmei_tさんのお眼鏡にかなったベース達はどれも良い音がしていましたね。

 同行したすわべさんはGibson Melody Makerの1ピックアップEBがいたくお気に入りのようでした。フロントのハムバッキングピックアップが1個のベースにトマスティックのフラットワウンドを張り、薄めのピックで弾くという裏技的な使い方なのですが、ローもハイも出ていて、かつ立ち上がりが適度に跳ねているという出音でした。私のEB-Ⅲではこの様な音にはならないと思うのですが、何かMelody Makerならではのマジックがあるのでしょうか?

  shinmei_tさん宅では話に夢中になり過ぎて、素敵なベース達の写真を撮り忘れました(汗)。と言いますか、写真を撮る時間が惜しいと思う程に話が弾んでいました。



 shinmei_tさん宅を後にして向かったのは、私が思うところの最も濃い店が集中する新大久保~大久保界隈です。その内で最後に伺ったバーチーズでチェックさせていただいたのが、入荷したてのこちら61JBです。フルオリジナルでとても良い状態ですね。

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IMG_0431.jpg ズームインするとリアピックアップ表面は傷一つなくポールピースには全てニスが残っています、ミュートシステム取付けネジ・ビス、そしてブリッジも錆が無くてピカピカしています。ブリッジがあまりにも綺麗なので、オリジナル?と疑ってブリッジプレートのプレスラインの有無を確認した私です。当然、プレスラインはありました。


IMG_0434.jpg それもそのはずで、ケースに入っていたこちらの写真をご覧ください。この方は写真裏に書いてあった“previous owner”の通り、前オーナーなのですが、さらになんとファーストオーナーとの事で、1961年製のこのベースを若かりし頃に新品購入して以来長年に亘り大事に使ってこられたのです。このオーナーが亡くなり、家人が処分されたものが日本に持ち込まれたという経緯のようです。


 写真を見るとピックアップやブリッジフェンスが付いたままなので、先ほどのパーツの綺麗さも納得できます。又、1弦側のピックガード上のサムレストに指を当てて1弦を弾いておられるのが確認できます。これぞレオ・フェンダーが世界初のエレクトリックベースを生み出した際に想定していた奏法なのです。このレオの流儀に従った奏法が数十年続けられた故の塗装剥げが、1弦ホーン部内側に見て取れます。そして南部をイメージさせる前オーナーのジーンズとネルシャツの服装や、はたまた星条旗が掲げられたステージでの演奏等、実に多くの情報が得られる味わい深い写真ですね。

 この61JBの後には、先の話題にも出たレオ・フェンダーが世界初のエレクトリックベースとして世に出した52PB(OPB)もチェックさせていただき、今回の楽器屋巡りも大収穫で終わりとなりました。(購入したものは何も無いのですが・・・笑)



 すわべさんには一日お付き合いをしていただき、そしてshinmei_tさんにはご自宅を訪問させていただき、ありがとうございました。同好の士のお二方とのお話は尽きず、時間がいくらあっても足りない程でした。次回の上京の際にもお会いしましょう。よろしくお願いいたします。
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Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

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