Category : アンプ
 プリ部、パワー部の7本全ての真空管を交換したAmpeg V4BHですが、最後にやるべき事がありました。それはパワー管を交換した後の“バイアス調整”です。 “バイアス調整”とは真空管に流れる電流の量を調整するのですが、何によって調整するのかというと真空管に加わるバイアス電圧の大きさを変える事によってです。

IMG_6036.jpg Ampeg V4BH メンテナンス⑤の記事のコメントに、すわべさんから「あれ?V4BHってバイアス調整どうなってたっけ?」との質問があった際には、アンプの外部には所有するSVT-VRと同様のバイアス調整ツマミが無いので「アンプにバイアス調整機能は無くて“固定バイアス方式(電圧固定型)”と思われます。」と返答したのですが、アンプの電源部の回路図を精査すると赤囲いの箇所が目に留まりました。


IMG_6037.jpg 拡大すると、ここがバイアス調整回路と分かりました。左の電源回路から送られた-58Vの電圧が可変抵抗器によってコントロールされて-45Vのバイアス電圧で真空管に送られているのです。


IMG_6038.jpg この回路をアンプの基板内で探すと、ありました。画像中央の青い小さな可変抵抗器がそれです。25kΩの抵抗値と周辺の固定抵抗の値も回路図と同様なので間違いありません。


IMG_6041.jpg 早速、回路図から判断したバイアス電圧調整後のポイントで、現状でのバイアス電圧をテスターで測定すると-48.8Vという結果でした。


 回路図では-45Vという値なので、テスターを見ながらマイナスドライバーで可変抵抗器を調整して-45Vに設定しました。

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 厳密には同時にバイアス電流を測定し、オシロスコープで波形のチェックも行わなければなければならないのですが、それは手持ちの機材では不可能なので、「これで自分なりのバイアス調整終了」とし、この状態でスピーカーからの出音をチェックすると、元よりも大きな音量でかつ歪んだものとなっていました。

 100Wの出力のアンプなので、バンド内で程良い音量を出すにはベースアンプから大きな音量が必要となり、この音質ではちょっと使えないです。そこで次にはバイアス電圧を-52Vに変化させると、これも同様に歪んだ出音でした。

 自分のベースアンプなので自分の気にいった出音になればそれで良いという事で、テスターによるバイアス電圧の値には拘らずに、スピーカーからの出音を聴きながら可変抵抗器を調整しました。ほんの少しドライバーを回すと音質が変化するので、微調整を繰り返してこれがベストだというピンポイントでのバイアス電圧を測定すると初期値の-48.8Vでした。

IMG_6007.jpg 今回のバイアス調整では出音をより良くする事はできなかったのですが、現状がベストな出音だというのが確認できたので結果OKとします。昨年末からの一連のメンテナンスで、トラブルフリーとなり、出音もベストな状態となったV4BHです。既に生産終了となって久しいのですが、真空管も交換した事ですし、まだまだ使っていこうと考えています。
 パワー管を交換して元気いっぱいの出音となったAmpeg V4BHですが、この際なのでプリ管も交換しました。パワー管の印字で1998年製造と考えられるこのV4BHは、私が10年前に中古で入手した後にはマイナートラブルのチェックの為にプリ管を差し替えした事はあったものの全てのプリ管を一気に交換した事はなかったのです。

IMG_6018.jpg プリ管はデフォルトと同じで、Sovtek 12AX7WA/7025が3本とElectro-Harmonix 12AU7/ECC82が1本なのですが、先行で交換したパワー管を選択した内容に準じました。パワー管は高出力にしたので、プリ管は低ゲインのものを選び、プリ管では歪ませずに、パワー管でクリアーに増幅するという組み合わせにしたのです。


 先にアンプのケースからシャーシを引き出せる加工を行っていたので、プリ管の交換は容易でした。シャーシ内部のSovtek 12AX7WA/7025×2本は上側から、そしてシャーシにぶら下がったSovtek 12AX7WA/7025、Electro-Harmonix 12AU7/ECC82 各1本は下側から短時間で交換しました。

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 プリ管を交換後の出音のチェックでは、これまで1本のみ取り付けしていた明るめのキャラのGroove Tubes GT-12AX7-R2を外した為に幾分かファットな成分が増えたのが分かりました。このアンプでよく弾いているThunderbirdでは、3~4弦を強く弾くとリニアに歪が加わり押し出し感が心地良いです。そして高域の1~2弦はトランジスタアンプでのキンキンとキラメク耳障りなものではなくて、ギンギンとした熱量を感じるもので、ハンバッキングPU+真空管アンプここにあり!という出音となっています。
IMG_5979.jpg 昨年末のチェック時に4本あるパワー管の内の1本のヒーターが灯っていないのが分かりました。その真空管にそっと触れても熱くありません。明らかに玉切れです。


 このV4BHは10年位前に中古で入手し、主に自宅での小音量の練習で使っていたので、いつの時点で玉切れとなったのかは分からないのですが、最近ライブに持ち出した際には「何故かパワーが足りなくて歪っぽくなる」と感じていました。車で例えれば4気筒のエンジンの内1気筒が不調で3気筒で走行するようなものですから、パワー不足感は当然ですね。

 入手後の10年間でパワー管を交換した事はなく、上の画像を見てもヒーターの灯り具合がマチマチでもあるので、玉切れした1本だけでなく4本を総交換するべく専門ショップに新たなパワー管をオーダーしました。

 入手したパワー管です。メーカー・品番はこれまでと同じSovtek 5881WXTなのですが、少しのこだわりを持ってチョイスしています。4本共にプレート電流が揃っている(マッチング管)のは当然なのですが、オーダーしたショップではそのプレート電流を低・中・高の3段階の値で選別していて、私がオーダーしたのはプレート電流が高いものの4本セットです。

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 真空管のプレート電流と出力は比例していて、同じ音量を出力する状態では、高いプレート電流(=高出力)のパワー管の方が低プレート電流(=低出力)のものよりプリアンプからの入力ゲインを控えめにできるので、プリアンプ内部での歪が少なくなります。

 私が使っているV4BHは100Wの出力で、ライブやスタジオで大音量のプレイをする際には特に低域で歪が大きくなる傾向があったので、これを避ける為に高いプレート電流(=高出力)のパワー管をチョイスしたという次第です。

IMG_5981.jpg 4本のパワー管を交換しました。全てにヒーターが灯り、その明るさもほぼ同等です。ベースを繫いで出音を確認すると、これまでとはゲインのツマミで2ポイントほど音量が大きくなっていました。


 そして音質は全音域でクリアーになり、高域はアンプのEQはそのままですがキャビのツイーターのレベルを下げました。そしてこれまで歪んで音像がぼやけていた低域はJBやPBでははっきりとし、ハンバッキングPUのThunderbirdにおいては少し歪むって感じで心地良い弾き心地になっています。

IMG_5990.jpg 交換前に新・旧のパワー管を見比べしていました。印字を見ると左の新は17 04で2017年製、右の旧は98で1998年製と分かりました。私がこのV4BHを中古で入手したのが約10年前なのですが、製造はそれを更に10年遡るのですね。今年二十歳のアンプですので、昨年末からの一連のトラブルも発生して当然ともいえます。かくなる上はプリ管も交換ですかね?(笑)
 昨年末のチェックでパワー管が1本球切れしているのが判明したAmpeg V4BHですが、年明けにオーダーしたパワー管が届く前に、毎回のメンテ時に少々手間取る点を解消しようと考えました。

IMG_5850.jpg 手間取るのは木製ケースからアンプシャーシを取り出す時なのですが、アンプシャーシはケース天板から4本のビスで吊り下げられていて、このままビスを緩めるとシャーシはケース内に2cm程度落っこちるので・・・、


IMG_5851.jpg ワークベンチ上にケースを逆さまに置き、天板の両サイドにあるビスを下側から緩めてシャーシを取り出すという手順が必要でした。その際にはケース内側に貼りまわされた表皮のビニールレザーがシャーシに引っ掛かって、スムースな取り出しとはなりません。そしてシャーシをケースに戻すにはこの逆の手順となります。


 これが面倒と感じた私は、何か楽な方法がないものかを探るために木製ケースの内部を裏側から観察してみると、天板から吊り下げられたシャーシと裏蓋を取り付ける為に縦方向に入れられた木下地との間にスケールで測ると19mmの隙間があり、ここにシャーシが落ちて乗るのが分かりました。

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IMG_5862.jpg この隙間を無くせば、シャーシの落下を防ぐ事ができそうなのでやってみました。先ずは木製ケースからシャーシを抜き取り・・・。


IMG_5866.jpg シャーシと木下地との隙間の19mmよりも少し薄い17mmの厚さに加工した木の棒をスペーサーとして、ケース両側面内側の表裏に通して取り付けしました。木の棒には目立たないようにとラッカーの艶消し黒を塗っています。


IMG_5867.jpg スペーサーを表裏に通して取り付けしたので、これがスライドレールとなり、ケース前面からシャーシを“引き出し”のようにスムースに出し入れ可能となりました。シャーシを半分引き出した状態ではプリ管のチェックや交換が簡単に行えます。メーカーも元からこの仕様にしておくと組み付け時に楽だったのに・・・、と思います。
 先日のメンテで完調となったはずのAmpeg V4BHですが、使っているとある日突然にバリバリという異音がスピーカーキャビから聞こえてきました。「未だ治っていないのかよ~」と困惑しながらも原因を追求するためにワクワクしながら(笑)、アンプヘッドからシャーシを取り出した私です。

IMG_5879.jpg チェックするとプリ基板とシャーシの接触は前回のメンテ処理で解決しているのに、基板をドライバーで軽く叩くと再びノイズが発生していました。ノイズの発生個所を絞っていくと、プリの初段の真空管が取り付けられているソケット周りに辿り着いたので、真空管を外して目視でチェックしたのですが、何ら問題は無さそうです。


IMG_5880.jpg そこでプリ基板を逆さにしてみました。画像センターの円形の半田付け箇所が真空管のソケットの裏側です。


IMG_5883.jpg パッと見には問題が無さそうだったのですがズームアップすると、「あれっ?」の3箇所でソケットの足と半田盛りとの間にクラックがあるように見えたので、裏側からソケットを押すと左下の箇所では半田盛りからソケット足がゴソゴソと動くのが確認できました。


 ここしばらくの間悩んでいたアンプのノイズの元凶はここだったのですね。過去に何回か真空管を抜き差しした事があるので、ソケットの動きの為に足の半田付け箇所が金属疲労して接触不良となっていたのですね。


IMG_5885.jpg その3箇所は再度の半田付けを行いました。半田のクラックは無くなっています。


IMG_5849.jpg この処理後にアンプの出音をチェックしたらノイズの発生は無くなっていました。これでやっとの事トラブル解決ですかね?


IMG_5895.jpg このまま何事も無く新年が迎えられたらなと思いながら何気なくアンプを裏側から眺めると、4本あるパワー管の内の1本にヒーターの明かりが灯っていないのが目に入ってきました。このアンプ、持ち主をどこまで楽しませてくれるんだ!年明けにやる事が決まりましたね(笑)。


 という事で皆さま良い年をお迎えください。
プロフィール

F-nie

Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

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