先週の土曜日に福岡に行った際、ライブ会場の【Dreamboat】入りする前に現地の知り合いのアガタさんの紹介で新規のヴィンテージギターショップを訪れました。そこは博多中洲のビルgate'sで、ライブハウスのGate's7と同じ7階フロアーに出来た【ギタートライブ 福岡店】で、大阪にある本店の福岡支店となります。

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 この日(4月27日)は丁度プレオープンで、改装工事関係者向けの内覧だったのですが、改装を手掛けたアガタさんの案内でお店を拝見させていただきました。木質フロアーと黒の壁・天井のシックな内装で、訪れた際はスタッフの方が壁のギターハンガーにギターをレイアウトされているところでした。

 アガタさんに紹介された【ギタートライブ 】社長の井上さんとお話をしていると、「これを試してみて下さい」と手渡されたベースがこちらです。

SLIP JB


 これは、【ギタートライブ】がプロデュースして個人工房に作らせているSLIP!!というブランドのJBタイプのベースです。パッと見、何の変哲も無いパッシブのJBなのですが、アンプに繋いでみるとその出音に驚きました。先ずはローの出が半端無いです。E弦解放がドッカーンときます。ハイの響きも充分で、高音弦も音が細くはありません。

 試奏に使ったベースアンプのMarkbass Mini CMD 121Pは私も持っていて、手持ちのJBで使うと少しEQのローをプラスしているのですが、このSLIPのJBではEQはフルフラットで全音域に亘ってバランス良い出音でした。少しの時間の試奏だったのでアンプのEQは触らなかったのですが、追い込むと更に気に入った出音になるものと思います。

 井上さんにPUの種類を聞いて更に驚きました。“普通”のダンカンのSJB-1でした。私もこれまでSJB-1を試しているのですが、あまりに“普通”過ぎて色気を感じなくて、同じくダンカンのアンティクティがベストのPUと評価していたのですが、このSLIP!!のJBではSJB-1のままでかなり満足出来る出音でした。

 弾きながら井上さんのお話を聞いていると、「なるほど、これがこの出音の良さの要因か!?」と分かってきた事があります。それはネックの揺れがとても大きいのです。右手の指で弦を弾くと同時にネックを持つ左手には弦の振動がブルブルと伝わります。

 「ネックは揺れれば良いというものでは無い、弦振動のエネルギーがネックを揺らす事に費やされてサステインが減少するから」とお考えの方もいらっしゃいます。ただ私は弦振動が一旦ネックを揺らした後にネック材の音響特性を伴って弦に振動がフィードバックする感覚(実際見えている訳ではありませんがイメージです・・・笑)が好きなので、“揺れてくれるネック”が大好物となります。

 “揺れるネック”は弦を優しく弾くと揺れを押える事が出来るのですが、“揺れないネック”はいくら弦を強く弾いても揺れてくれませんし・・・。

 井上さんは、「やはりギターはネックが一番重要」との事で、OEM生産で他のメーカーが作ったネックやボディーを組み付けるだけの工房が多い中で、SLIP!!は全て板(バン)から作っていると聞かされて、納得できた私です。

 私が持っているFullertoneのベースもネックが良く鳴るのですが、これはデフォルトで付いている軽量ペグに因るものが大きいです。一度ヴィンテージのペグを取付けした事があるのですが、その時は「あれれ?」と思うほどに鳴りが減ってしまって元の軽量ペグに戻しました。代わってこちらのSLIP!!には一般的な重さのGOTOH GB2が付いているのですが、このペグでこのネックの振動具合は、正に良く枯れたヴィンテージベースと同等の感じです。ペグの適度な重さはコンプ感をプラスする事にも繋がっているものと思います。

 SLIP!!は塗装も極薄のニトロセルロースラッカーにするなど“鳴り”を最優先にした作りとなっているそうです。

 円安でおいそれと60年代初期のベースが購入出来なくなった昨今、今回試奏したSLIP!!はヴィンテージベースに代わって“現場で使える”1本として選択肢に挙げても良いのではないかと、短い試奏時間だったのですが、そのように感じました。

 時間を見つけて、再び福岡を訪れてSLIP!!をゆっくりと弾いてみようと思います。【ギタートライブ 福岡店】の併設スタジオにはAmpeg SVT blueline(本物!)が置いてあってこれで出音をチェック出来るというのも魅力です。井上さん、又お伺いします。アガタさん、良い店をご紹介していただき、ありがとうございました。
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コメント
GUITAR TRIBE 井上さん

コメントをありがとうございます。
先日はお世話になりました。

SLIP!!の鳴りのイメージを頭に残して、GWに上京した際に何本かのベースを弾いたのと比べてみました。
同等の鳴りを感じたのは、置いてある店の店長さん曰く「この店一番の鳴りを誇る」ヴィンテージの59PBでした。

またお伺いして、再度SLIP!!のネックの鳴りを感じてみたいです。
ありがとうございます!
SLIP!!をF-nie様に丸裸にされてしまいました。なんという経験値と知識をお持ちなのでしょうか…
私も当然61~65のFENDERのBASSを異常に愛しております。同時に月産4本のSLIP!!(ギターも含め)もライフワークと定め販売していきたく存じます。F-nie様、またのご来店お待ち致しております。
nyakkeeeさん

4弦パッシブがお好きなnyakkeeeさんなら、興味が湧くところでしょうね(笑)
小細工無しで鳴りを引き出しているのが、良いと感じました。
試奏の機会が有れば良いですね。
ご無沙汰しております!コレはちょっと興味深いですね。以前大阪店には伺ったことがありますし、HPの写真がキレイなのでよく壁紙用に拝借しています(汗)。機会があれば弾いてみたいものですね。(確かにちょっとお高いですが...)
マチャさん

メーカーサイトにあるビルダーのコメントに「ネジで固定するギターなんて、どうすれば鳴るかなんかとっくに知っているし、面白くない。」とあります。

クールですね!
「どうすれば鳴るか」教えていただきたいです(願)。
「E弦解放がドッカーン」って言う文面に反応しちゃいます。
PUがSJB-1ってのも驚きだし、ペグがGB2ってのも計算している!?感じがしますね。
「ネックは揺れ」についても興味深いというか不思議。永遠の研究テーマでしょうね ♪
ベーさん

vintageを手放してこれを買った方の気持ちが分かる気がします。
エントリーは、ネックの“鳴り”についてだけだったのですが、“レスポンス”も早かったです。
足の軽いべーさんの事ですから、福岡は近いですよ(笑)。
お試しを・・・。
文章を読むたびに気になります(笑)
ツイッターで少し調べたのですが、vintageを手放してこれを買った方がいらっしゃいまして・・どんだけいいのだろうって気になってます!!
また続編を期待していますw
sinmei_tさん

試される価値は有ると思います。
私が知らないだけで、世の中にはまだまだ良いベースがあるものだなあぁと感じました。
Fullertoneは鳴りが良いベースとして知られていますが、材の良さに加えて軽量ペグやブラス製サドル、リンディーのPU等で少しの色付けがなされています。
SLIP!!は材と加工、ニトロセルロースラッカーの極薄塗装、ダンカンのSJB-1 PU等の素材のみの直球勝負というのが私の“ストライクゾーン”にハマりました(笑)。

SLIP!!はギタートライブの大阪と福岡店でしか弾けないと思います。
そこにも試奏品のみで、気に入ったらオーダーするスタイルです。
出張等で弾ける機会が出来れば良いですね。
私も近いうちに再び弾いてみようと思いますので、又ご報告します。
たけさん

第一印象としてはなかなか良いベースでした。
次の機会にはじっくりと弾いてみようと思います。
価格的にはFender Custom Shop並みなのですが、Custom Shopの強靭な柾目取りのネックと比べて、SLIP!!は中杢でネックの鳴りを優先しているのが分かります。
Fenderというネーミングにコダワリが無ければ、SLIP!!はお勧めです。
試してみたいですね、このベース。最近、この手のベースのクオリティは上がってきてますが、本当に欲しいと思えるブランドはまだ少数です。そこに割って入る品質があるなら、試す価値がありますよね。東京にはないのかしら?
とってもよさげですね!
価格的にちょっと買えませんが・・・
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プロフィール

F-nie

Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

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