私の68TLBはレアなペイズリーレッド仕様です。これはボディ表裏面にペイズリー柄の紙を貼った後に、全体を保護の為にクリアのウレタン塗装を施して、木部の見えるボディサイドはメタリックレッドで色吹きするという手の込んだ作業がなされているのですが、その厚いウレタンが経年変化の為に収縮してクラックが発生している個体が殆どで、ご多聞に漏れず私の68TLBもそうなっているのでした。

 この68TLBを一年前にショップに持ち込み、裂けてめくり上がったクラックを押え込んで、溝にはクリアラッカーを流す処理をしてもらっていたのですが、その際は作業工賃の関係でクラックの溝巾が広くて目立つ数本に限定した処理だったので、未処理のクラックはやはり気になっているところでした。それならやってみるか!と言うことで、この度ボディ全体のクラック処理を行いました。

_IGP2382.jpg 先ずはクラック同士がせり上がって、北極の氷のように段差が発生しているボディ表面をペーパーで研ぎました。ネックとピックガード、そしてブリッジをボディから取外して番手の大きい(目の細かい)1000~2000番の耐水ペーパーで水研ぎを行いました。この際はクラックの段差が無くなる迄研ぐのではなくて、指に引っ掛かる感触が低減する程度で止めていて、経年変化で発生したクラックの風合いは残す様にしています。メタリックレッドが吹いてあるボディサイドは色落ちのおそれがあるので研いでいません。


_IGP2387.jpg ボディ全体のクラックを指でなぞって均一に研げたのを確認した後は、電動ドリルに取付けたスポンジバフにコンパウンドをつけて全体を磨きました・・・が、全体に艶が出たのと同時に問題も発生しました。写真でも分かるのですが、クラックの溝底にコンパウンドの白い粉が残って、クラックがかえって目立つようになっています。


 でもこれは想定内の事で、次の作業に取り掛かりました。先ず広い溝は歯ブラシを使い、そしてヘアクラックは縫い針を使って溝底のコンパウンドを掻き出しました。これである程度のコンパウンドは除去出来たのですが充分ではありません。

 次にはコンパウンドを目立たなくして、かつ溝も埋める為にクリアの塗料を溝底に流し込む事にしました。ここで注意しなければならないのは、ラッカー系の塗料はボディ仕上げのウレタンを侵す恐れが有るので使えないという事です。昨年リペアに出したショップではラッカークリアを使った後に溝の周りにはみ出たラッカーをペーパーとコンパウンドで削っていて、その際のコンパウンドカスも残っているのでした。

_IGP2423.jpg はて、どうしようかな?と考えた時に以前(と言うよりもかなり昔・・・汗)プラモデルを作った際の事を思い出しました。プラモデルをラッカーで塗った後に違う色で塗り分けする際にはラッカーではなくて、エナメル塗料を使っていました。エナメルはラッカーを侵さないので、失敗した際に乾く前なら拭き取れるし、乾いた後もエナメルシンナーで消す事も出来ます。このエナメルなら68TLBのボディ仕上げのウレタンに使えるかもしれないと考えて、早速オモチャ屋でクリアのエナメル塗料とエナメル用シンナー、そして極細の面相筆を購入してきました。


_IGP2400.jpg チェックの為にボディの目立たないところをエナメル用シンナーで拭いたのですが全く問題はありません。よしこれだ!と言うことで作業開始です。クラック溝に面相筆でエナメルを塗り込みました。溝底に残ったコンパウンドの白いカスは直ぐに目立たなくなっています。10cm程処理をしたらティッシュペーパーではみ出たエナメルを拭き取ったのですが、ウレタンの表面仕上げを侵す事は無く、クラック溝底だけにエナメルが残っています。エナメルはラッカーに比べて乾燥が遅いので、その拭き取り作業はスムースに行えました。結局エナメルシンナーは作業の最後の工程でボディ全体を拭き取る際に極少量を使っただけです。


 クラック溝の見え方の変化です。左が処理前、右は処理後です。溝自体は全部は埋まっていないのですが目立たなくなっています。

_IGP2388.jpg


_IGP2390.jpg


_IGP2393.jpg


_IGP2395.jpg


 そしてクラックの処理後にパーツを元に戻して作業終了です。

_IGP2442_20100126220055.jpg


_IGP2450.jpg クラック処理など他の人から見ると全く意味の無い作業と思われるでしょうけれど、オーナーにとっては今後の経年変化を抑える事が出来て、かつ見栄えも良くなると言う事で、とても満足した結果となった今回の作業です。


 次にはこの68TLBにマッチングする弦を探して、かつPU廻りにも手を加えてみようかと考えています。せっかくボディの状態が良くなったのですから、出音の方もレベルアップといきたいですから・・・。
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コメント
No title
Yukkoさん

はい、今度お越しの際に持って行きます。
いよいよ来月はベースデビューですね。
楽しみにしています。
感涙(ToT)
塗装系もすごいですね。まったく足下にも及びませんが、ベース愛に感涙したので、思わずコメントです。今度、よろしかったら直に見せて下さい!!
No title
madaさん

madaさんも塗装クラックでお悩みでしたか。
塗料の情報、ありがとうございます。
私が補修グッズを探すのはもっぱら近所のホームセンターなのですが、今度釣具店も覗いてみます(笑)。
ウレタンは一液性と二液性を持っていて、ちょっとの補修に使っているのですが、塗装って本当に難しいです。
以前はボディの塗替え等やっていたのですが、今は範囲の広い塗装のリペアはショップに任せています。
さすがです。
ご無沙汰しております。
さすがですね!!
私はL4-Cのネックをラッカーでパズルみたいに
くっつけていましたが・・・
とうとう、ネック裏だけオーバーラッカーしました。
次回、クラック補修の際はこれをお試しください。
一液性ウレタンで使いやすく、耐久性もそこそこあります。
http://www.ac-rise.com/?pid=12708322
釣具量販店なんぞにおいてあります。
No title
nyakkeeeさん

子供の頃は買ってもらったオモチャをそれで遊ぶよりは直ぐに分解して動く仕組みを調べる方が楽しかったのですが、今もやっている事は変わりが無いです・・・(笑)。

お店のサイトをチェックしました。私のテレべは、とあるショップのそれまでの店頭価格から70万引き(!)で買ったのですが(笑)、万人向け(?)の60年代初めのJBやPBとは異なって、このペイズリーレッドに関しては、それがどうしても欲しいという人と、全く興味の無い人にとって、価格の高い安いの感じ方にかなりの差がありますね。
No title
やはりプラモデル原体験でその後の人生は大きく変わる、と...(泣)。ワタシにはとてもマネのできる作業ではございません。
ちなみに先日下北沢の●ンダーニースに寄ったのですが、そこにある68テレベはこのF-nieさんの愛器とドンズバだと思います。かなりキレイな状態ではありましたが、やはりクラックだけはいたしかたなし。ちなみにお値段はほぼ1本です。(汗)
No title
たけさん

元々近眼の私に老眼と乱視が入って、もう大変です。
手元30cmのネックのポジションマークは眼鏡不要なのですが、50cm先のブリッジの高さ調整の際は眼鏡が必要です(汗)。

今回の作業はフレット廻りの作業に比べたら、“ベース愛”さえ有れば簡単ですよ(笑)。
No title
>老眼にうち勝つ“ベース愛”・・・
感銘に落涙を禁じえません・・・って私も単に寄る年波で涙もろくなっただけですが(涙)
眼鏡をつけたり外したり老眼って本当に大変ですよね。。。私もショボショボします。
でも、本当に勉強になります!
F-nieさんのブログ見てると、ちょっとのことなら自分でもなんとかなるかもって思っちゃいます。
No title
T’sさん

ベースのボディのクラックに詰まったコンパウンドのカスを縫い針で掻き出している様は、確かに国宝を修復している姿に見えますが、そこに有るのはテクニックではなくて、老眼にうち勝つ“ベース愛”だけです(笑)。
まるで国宝の・・・
F-nieさんのリペアテクニックは
まるで国宝の仏像をリペアされる方にも
劣らぬテクニックですね すげぇです♪
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プロフィール

F-nie

Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

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