一旦は仕上がったとした64Thunderbird Ⅱ→Ⅳですが、いざ使い始めるとネックのローポジ起きが再び気になってきました。1~4フレットを摺り合わせしてフレット頂上でのフラット化を目指したのですが、特に1フレットは限界まで低くしても反りは残っていて、4弦を弾くとかなりバズが出る状態でしたので・・・。

 これまで2年半預けたショップでは治具による矯正のみで自然治癒を待っていたのですが、症状に変化を得られなかった為に、この度は私がこれまで何本(十数本?)もリペアを依頼してきた北九州市小倉にあるクルースラットにThunderbirdを持ち込みしました。

 ケースから出したThunderbirdのネック周りを10秒間目視したクルースラットの社長さんの一言、「これ、指板がネックから浮いていますね」に「えーーーーっ!?」と驚く私でした。

 指摘された箇所を見れば、1弦側の指板サイドのナットから2フレットまで、4弦側はナットから1フレットまでネック本体と指板との間に細い筋が確認できました。私はこれが材種の違いによる収縮の為の表面塗装のみのクラックと思っていたのですが、ネック材と指板が剥離している跡だったのですね。

 ネック材と指板が剥離しているという事は、弦のテンションに対峙しているのはネック材だけで、数ミリ厚の指板は構造的な強度を担っていないという事になります。そのつもりで再確認したらクラックの長い1弦側が4弦側よりも大きく反っていました。

 瞬時に症状を分析した社長さんに「流石ですね」と言う前に対処方法を提案してきた社長さんです。その方法とは、『①剥離した指板とネックの隙間に接着剤を注入して固着させる』→『②指板サイドに注入した接着材が将来染み出るおそれがあるのでクリアラッカーで封じる』→『③ヒーティングを行い指板をストレートにする』→『④フレットを抜いて指板を擦り合わせする』→『⑤新たなフッレトを打つ(ナット交換も含む)』という一連のものです。



 リペアを依頼してから1ヵ月後に上記の①、②の作業が終わったという事で、下の画像と「指板とネックの隙間に溶解した接着剤(ニカワ)など異物があり全く閉まらず、取り除くのに手間が掛かりました」とのコメントがメールで送られてきました。

IMG_7440.jpg 画像は4弦側の指板サイドですが、クラックが閉じた上にラッカーがこってりと厚く塗られています。ナットが取り外された指板の木口からも接着剤を注入したとの事です。




 そして、それから1ヵ月後、合計2ヵ月間の入院の後に「仕上がりました」との連絡があり、持ち帰りました。以前のショップで2年半待った(放置された)のに比べると早い(そして完治しての)退院でした。

IMG_7452.jpg 問題の指板とネックの接合部分の仕上がり画像です。こちらは1弦側で、ナットから2フレットを超えての指板とネックの接合部が少し黒く見えるのは接着剤を注入した痕跡です。ショップの説明は「カッターナイフの刃が入り込む程の隙間があり、注入した接着剤もかなりの量でした」との事でした。


IMG_7446.jpg クラックの短かった4弦側もナットから1フレット未満まで同様な処理となっています。クラック処理部分のクリアラッカーは、上の工程途中の画像と比べると皮膜が薄くなるまで研磨されており、他の箇所との違和感がありません。ショップ曰く、「指板サイドの全てをクリアーラッカーで塗りたかったのですが、そうするとそこが新品のように目立ってしまうので・・・」との事でした。うーん、的確な判断ですね。


IMG_7441.jpg そしてフレットの打ち替えが行われたのですが、このショップではネックの反り矯正の為のヒーティングを何度も慎重に行いストレート出しをして、指板削りを極力避けるというスタンスで、このThunderbirdも指板削りは殆ど行っていないそうで、フレットの頂上をローフレット部で若干擦っただけのようです。


IMG_7443.jpg 打ち替えられたフレットはピカピカで、上記の理由で表面の荒れをサンドペーパーでさらった程度のハカランダ指板と相まって見た目は最高となっています。


IMG_7522.jpg 4弦側の指板エンド部には、以前のオーナーが長年親指を置いてプレイしていた為の指板の削れがあるのですが、この箇所のフレットサイドも丁寧に処理されています。ネックが外れないスルーネック構造なので、ここは難易度の高い作業だったと思われます。


IMG_7519.jpg 交換されたナットの小口には少し黄身がかったラッカーが塗られて、塗料の経年変化が表現してあります。ヴィンテージ楽器にも造詣が深いクルースラットならではの細かなそして気の利いた仕事振りです。


IMG_7521.jpg 当然の事ですが見た目だけではなくて、調整済みのネックでこれまで感じていたバズが減少しているので、弾き心地も最高です。又、フレットはオリジナルと同サイズ・同形状のものを選んでいるので、こちらも違和感がありません。このThunderbirdを3年半前に入手して以来、やっとの事で良好な弾き心地が得られています。


 これまではローポジで指板とネック材が剥離していてネックが反っていたのですが、ネックそのものは元からとても強靭で、指板とネックを再接着した現在はトラスロッドナットがユルユルの状態でもビシッとストレートを保っているので、今後もこの状態を長くキープしてくれるものと期待しています。



 さて、今回このThunderbirdにはもう1ヵ所クルースラットによるスペシャルな手が加わっているのですが、それは次の記事で説明します。ヴィンテージのThunderbirdをお持ちの方は必見です!(かも・・・?笑)
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コメント
shinmei_tさん

やはり、ネックの状態が良くなると弾き心地が全く変わってきますね。
機会があれば、ウチのリバースとノンリバの2本を弾いていただきたいものです。
次回はshinmei_tさんにも興味を持っていただける記事だと思います。
見るからに良い状態になっているオーラが出てますね。弾いてみたいです!
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F-nie

Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

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