Category : Electric Upright Bass
 Sさんから預かっているNS Design Omni Bass CR5の気になる点に対処しました。



 ガリ・ボリューム解消
IMG_3060.jpg チェック時には全てのポットにガリがあったので、対処する為にポットが取り付いている基板ごとボディーから取り外しました。ポットの開口部にアクセスし易くなったので洗浄剤と接点復活剤を吹いて、ガリは解消しました。




 5弦交換
IMG_3061a.jpg テールピース部を見ると、5弦のエンド部が入り切らずにはみ出ていました。ボールエンド部で弦がガッシリと固定されていなくては、弦振動に支障があります。


 現オーナーのSさんから「元はハイC仕様で弦が張られていたのを前オーナーがローB仕様とした」と聞いていたので、現状の弦をチェックすると、1から4弦は通常のエレキベース用よりも細いNS Design専用弦、ローBの5弦はかなり太い別メーカーの弦なのが分りました。その太さをノギスで測定すると3.3ミリだったので、1本単位で販売されているダダリオのエレキベース用フラット弦0.132ゲージと推測します。(0.132インチ≒3.35ミリです)そしてやはり5弦が太過ぎているので、他の弦から5弦に弾く弦を替えた途端に右手のタッチを調整する必要があり、弾き心地が良くありません。

IMG_3062.jpg こうなれば弦交換しかないので、Sさんの了解の元にNS Design Omni Bass CR5の専用弦からバラ売りの5弦を購入しました。巻いてあるのが専用弦で、ストレートなのが取り外した5弦です。一瞥してかなりの太さの違いが分かります。


IMG_3063.jpg この専用弦を張りました。見た目にも弦の太さのバランスが取れていて、実際に弾いてチェックしても右手の弾き心地に違和感を覚えなかったので、これより細かなセッティングを行いました。




 弦高調整
 太かった5弦を細めの(テンション感の緩い)専用弦に替えたことで、5弦の揺れ具合がブルブルに感じられたので弦高調整を行いました。ボディー裏側にあるブリッジが取り付けられている木製ブロックの両端にあるプラスネジを回して弦高調整を行いました。この作業は裏蓋を取付け後にも蓋にある穴にドライバーを差し込んで行う事ができます。

IMG_3064_20161211182312e78.jpg         IMG_3065.jpg




 マグネット・ピックアップの音量バランス調整
 アンプからの出音を聴きながら各弦の音量を揃えるべく、マグネット・ピックアップの高さ調整を行おうと思ったのですが、「さて現状で固定されているピックアップがどうやれば動かせるのか?」となりました。

IMG_3066a.jpg マグネット・ピックアップ周囲を注意深く見ていたら「おっ、これは何?」各ピックアップに付随する小さな黒ポッチの側面に小さな穴を見つけました。更に凝視すると、穴の中には六角レンチ用のイモネジが潜んでいるのが分かったので、これに6角レンチを差し込んで回すとピックアップのロックが解除されて上下できました。


IMG_3068.jpg この方法で5つのピックアップ全ての高さ調整を行った後はこの様な出具合になっています。




 スタンド取付け部の汚れ除去
IMG_3069_20161211182358feb.jpg 専用スタンドとの取付け部にクッションのゴムのカスが付着していたので、クリーナーで除去しました。取付け部穴の底にはしっかりとしたビス受けナットが挿入されています。




 スタンドの“遊び”調整
IMG_3070a.jpg 専用スタンドのビスによる固定部に長年の使用から“遊び”が発生していました。特にぐらついていたベース装着部の根本はビスを打替えしました。他所もビスを適正に締め付けたり、必要な箇所はビスの緩み止め剤を塗布したりしました。


IMG_3071a.jpg ベース装着用ボルトの金属製ハンドルの根元に経年劣化によるひび割れがあったので、隙間に接着剤を充填した後に補強の樹脂バンドを巻きました。




 以上で気になった箇所への対応が全て終了しました。

IMG_3072.jpg         IMG_3073.jpg




 P.S.このNSをSさんに譲り渡されたプロ・ベーシストのKさんから以下のコメントが届きました。

 「この楽器、現行では"Omni Bass"なんですが正確には型番が変わる前の"NS Bass Cello”の、恐らく最初期モデルです。
 チェコ産のCRシリーズのみ、弦は5弦ハイC仕様のみ、フレンチ式の弓と立奏用のアタッチメントが標準セット、純正弦で5度圏チューニング可能=5弦チェロとしてもどうぞ、と謳われていたなんともカッ飛んだ楽器でした(笑)
 NS使いかつチェロも弾ける渡辺等さんが心の師匠だった為、発表→国内上陸と共に即座に買った次第です。

 寡聞につき名称変更と共に仕様が変わったのかは判らないのですが、ローBの純正弦やフレッテドなどバリエーションが増えているので、Omni Bassとして紹介すると現行品と多少なり差異が有るかもしれません。

 余談ですが、まだ暫くお手元に有る様でしたら、NS推進派としてtipsを幾つか。
 ウッドの模倣をするなら、ピエゾのモードは弓弾きモード一択です。
 そこにEMGでハコ感、ボディー感というか低音を足していくと。
 Sさん仕様で弦高下げていますが、弦高を高くしているとネックで弦が軋む感じが出て、弓弾きと併せて非常に生楽器+ピエゾに近い質感が得られます。
 ヤマハSLBの開発モニタをしていたのですが、関係者の方が唸った質感です。」

 以上です。Kさん詳細な説明をありがとうございます。色々と分りました。既にセットアップを終えていたので、弦高を上げてのチェックは行っていないのですが、そうすると良さげですね。
 SLBの開発モニタをされていたのですね。SLB200を持っていたのですが、あまり深い出音に感じなくて手放しています。比べてこのNSデザインは、ボディーはコンパクトでも深みのある出音で、かつ発音が良いので細かなニュアンスが表現できる“お洒落なベース”と感じました。
スポンサーサイト
IMG_3049.jpg ボディー裏面の殆どが黒の樹脂カバーです。アウトプット・ジャックがエンド部のコーナーに見えます。バッテリー収納部カバーのビスが1ケ欠品しています。


 さて、これからが初公開!ググっても出てこない(笑)Omni Bassの内部画像です。

IMG_3050.jpg 樹脂カバーを外しました。木部が大きく削られていて、弁当箱状になっていますが、ここで箱鳴りが発生している様には感じられません。何処かの“謎の地下空間”では無くて、コントロール部設置や配線の引き回し、そしてボディー裏からのピックアップ・ブリッジの仕込みの為の“必需空間”ですね。2つの9V電池用のキャビティーもあります。


IMG_3052_2016120407582168e.jpg 各弦に対応したマグネット・ピックアップの裏側が見えています。同じくEMG製で2006年の製造年月日が記されたシールが貼られています。


IMG_3053.jpg 上と別のピックアップの画像です。カメラアングルが違うので、ピックアップが挿入されている穴の側面に小さなビスがねじ込まれているのが分かるのですが、これはピックアップの高さ調整の際にピックアップが穴に落ち込まない為の“止まり”です。


IMG_3054.jpg そして、弦に対応していないボディー中央部にもピックアップ状のパーツが埋め込まれていたので、これは何なのか?を調べてみました。ドライバーの先でコンコンと軽く叩いてもアンプから音は聞こえないのですが、小さな磁石(他のベースから取り外したポールピース)をピンセットで挟んで叩くとコツッとアンプから音が出ました。


 この結果から、このパーツはコイルのみで磁石が無いハムキャンセリング用のダミー・ピックアップと判断しました。各弦に対応したピックアップのコイルの巻き方とは逆巻きのコイルで空間ノイズを逆位相で拾って、マグネット・ピックアップ全体でノイズを打ち消すという仕組みです。磁石が無いので弦振動は拾わないのです。

 これまでチェックしたエレクトリック・アップライトベースで、この種のピックアップが装着されていた例はありませんね。エレクトリック・ベースにおいてもAlembicやMusic Manくらいしか例を知りません。

IMG_3055.jpg ブリッジにはメーカーが言うところの“The Polar directional piezo pickup system”が取り付けられていて、弓弾き(横振動)と指弾き(垂直振動)のモードがツマミで調整できます。これがどのようなシステムか詳しく調べてみようと思ったのですが、その為にはブリッジ底部にピエゾ・ピックアップが仕込まれているであろう左写真の木製ブロックを取り外さねばならず、今回は断念しました。


IMG_3051_2016120407580575b.jpg コントロール基板には、EMG製で2007年の製造年月日が記されたシールが貼られています。


IMG_3056.jpg 基板には3つの半固定抵抗が取り付けられています。今回、ここは触っていないのですが、上記の各ピックアップのプリセット・ボリュームとなっているものと推測します。


 これまでを見ると、このNS Design Omni Bass CR5は限られたサイズのボディー&ネックに、前例にとらわれずに新たな発案で多彩なピックアップ系・コントロール系を搭載した新種のベースというのが分りました。

 ただし、現状ではガリ・ボリューム等この多彩な機能を活かし切れていないマイナス点がいくつか散見されるので、次回のエントリーでその全てに対処してみます。
IMG_3033_20161127222757fae.jpg Sさんからお預かりしたNS Designのベースをリペア&メンテナンスする為には、このベースがどのようなものかをチェックする(相手を知る)必要があります。先ずは外部廻りのチェックの為にスタンドに取付けしました。発射台に取付けたロケットのようなスタイルで、このままエンジン噴射して飛んで行きそうです(笑)。


IMG_3034.jpg 弦長がエレクトリックベースと同じ34インチで5弦のこのベースをネットで調べると、“NS Design Omni Bass CR5”という製品名だと分りました。NS Designにはアップライト・ベースと同スケールの製品もあります。


IMG_3035.jpg 殆どがネックで、ピックアップ~ブリッジ廻りに申し訳ない程度にボディーがあります。5個の黒の円筒状のパーツが各弦に対応したマグネット・ピックアップで、それぞれに小さな黒のポッチが付随していますが、これが何かは今後報告します。


IMG_3036.jpg 現状で張ってある5弦が他より太くてエンド部の巻き糸部がテールピースの穴に入り切っていないので、はみ出たボールエンドにカバーをしてボディー部への傷付け防止となっています。これは改善せねばならないところですね。


IMG_3037.jpg 次にチェックの為に作業ベンチの上に置きました。まな板の上で解体を待つマグロ状態です(笑)。


IMG_3038.jpg ボディーから垂直に立ち上っているブリッジでの底にはピエゾ・ピックアップが仕込んである筈です。弓弾きにも対応している為に指板と共にかなりの湾曲度です。ボディーエンド部を見ると、5ピースのブロックでボディーが構成されているのが分ります。


 湾曲のきつい指板部にはポジションマークが、高域は2弦側に、低域は3弦側に振り分けて埋め込まれています。指板材はエボニーです。

IMG_3039.jpg         IMG_3040.jpg


 ボディー材はフレーム・メイプルで、ボディートップには別のフレーム・メイプル板がRに加工されて貼り付けられています。

IMG_3041_20161127223437a0c.jpg         IMG_3042.jpg


IMG_3043.jpg コントロール部には5個のツマミが取り付いています。ツマミの機能は左からボリューム、マグネットとピエゾのピックアップ・バランサー、指弾きと弓弾きに応じたコントローラー(詳細は今後報告します)、トレブルトーン、ベーストーンとなっています。


 シャープなデザインのヘッド部です。5個の小さなペグが巧みに配置されて、チューニングもネック裏からのアクセスでスムースに行えます。強いて難点を言えば、高音弦側の2弦と3弦のペグは目視しないと間違えて触ってしまいます。

IMG_3044.jpg         IMG_3045.jpg


 アップライト・ベースと同様の木製(エボニー)ナットの下にはネックの反り調整用のトラスロッドにアクセスする開口があります。今回はネックの反り調整は不要でした。

IMG_3046.jpg         IMG_3047a.jpg


IMG_3048_20161127224110db7.jpg 3ピースのネック材は極上の柾目のメイプルです。ボディーのフレーム・メイプルや指板のエボニーと共に高価な木材が全体に使われています。


 外部の目視でのチェックが終わったので、次はバックプレートを外して内部のチェックを行います。
 先日、東京にお住いのベース友達のSさんがこちらにお見えになったので、プチ・ベース会を行いました。

 プロ・ベーシストのIKUOさんのヘビーなファンのSさんは、IKUOさんの出身地でもあるこちらに度々お越しになっていて、その流れで私も知り合いになっています。

 SさんはIKUOさんが出演された11月11日の“JACOナイト”@目黒BLUES ALLEYに行かれたそうです。そこでトークをされていたのはこのblogでもお付き合いのあるshinmei_tさんでして、ベースを通じたお付き合いが何かと繋がっていくのが不思議でもあり、楽しくもあります。

 この日のベース会は、私のAmpeg SVT-VRが“箱アンプ”となっている《SUN MOON HALL》で行いました。

 そして、お互いに今一番ハマっているベースを持ち込む事とすると、私はGibson Thunderbird ノン・リバ、Sさんはわざわざ荷造りをされてのNSデザインのエレクトリック・アップライトベースの2本が、SVT-VRの前に並びました。こうやって見ると何の脈絡も無い2本のベースですね(笑)

IMG_5099.jpg


 早速、NSデザインを試奏させていただきました。殆どがネックなので、箱鳴り感は覚えないのですが、軽いタッチで発音し、サスティーンは長くて、良くできたフレットレス・ベースという出音でした。

 ただし演奏性においては、スケールが34インチとエレキベースと同様なのですが、指板はアップライトのように湾曲していて、しかも5弦という事でアップライト・ベースとフレットレス・ベースの中間にある新種のベースという感じがしました。私が日頃弾いているアップライトのBaby bassとも5弦のエレキベースとも弾き方がかなり異なっており慣れが必要でした。

 試奏中にこのベースのポットにガリがあるのが判明したので、しばらく私が預かって修理する事になりました。詳細は後日報告します。(リペアネタができました・・・笑)
IMG_4714.jpg 最近は手持ちのベースやアンプのメンテばかり行っているのですが、今回はエレクトリック・アップライト・ベース(以下EUB)のAria proⅡ SWB-βのメンテ報告です。これまで何本かのEUBを所有してきたのですが、最後に残ったのがこのSWB-βです。これを選択した要因は“ボディー鳴り”、“ネックの握り易さ”そして“ネックの強さ”です。


IMGP6201a.jpg 以前、同時に所有していたLandscape SWB-Masterと比べると、上記3点はどれもSWB-βが勝っていました。SWB-Masterのルックスはとても気に入っていたのですが、最後は出音と弾き易さでSWB-βをチョイスしました。そのSWB-βですが、やはり何年も使っていると気になる箇所が出てきたので、この度一気に手を入れました。




IMG_4697.jpg 先ずは出音というかノイズについての対応です。弾いていると、何かの時にアンプからバリバリと大きなノイズが聞えてきて驚く事がありました。チェックしてみると、どうやらボディー背面にあるバッテリーBoxが原因と思えたので、バッテリーと端子との接触不良を疑い、接触部を磨いて接点復活剤を吹いたのですが、しばらくするとノイズが再発したので、バッテリーBoxごと交換する事にして、GOTOHの同タイプのバッテリーBoxを入手しました。


 交換の際にバッテリーBoxからのリード線がコントロール基板に取り付く箇所をみたら、半田付けはしてあるものの芯線が剥き出しの部分があったので、熱収縮チューブで絶縁しておきました。

IMG_4701.jpg          IMG_4706.jpg




IMG_4708.jpg 次にはコントロール部分です。5つのコントロールツマミの回し具合が分かり辛かったので、ツマミのトップの溝を白く色付けしました。画像は内3つを白マジックで色付けした時のものです。


IMG_4710.jpg これまでは、暗いステージ上では目視でコントロールツマミの状態が分からなくて、演奏中に不意にツマミに手が触れて回ってしまうとお手上げだったのですが、これで今後は大丈夫です。


 ついでにコントロール部のミニ可変抵抗を回して、ピエゾとマグネットの両ピックアップの各弦の出力のバランス取りを行いました。ピエゾピックアップはブリッジの1弦と4弦部の足の2ヶ所に仕込まれていて、高音弦側と低音弦側のバランスが取れます。マグネットピックアップは4弦それぞれに1つずつ有るので、各弦用のピックアップの高さ調整とピックアップの出力調整を組み合わせることによって、完璧な出力のバランス取りが行えます。



 その他、各部のビス類の締まり具合を確認、打痕へのタッチアップ塗装等を行って、SWB-βへの今回のメンテは終了しました。最初に記したのですが、このベースのネックはとても強靭で、張力の強いアップライト弦を張りっ放しにしていてもトラスロッドナットをゆるゆるから少し締めこんだだけで長期間安定しています。この先もずっとこの良いコンディションのまま、弾き続けていけるものと思っています。
プロフィール

F-nie

Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブロとも申請フォーム