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 デッドポイントといえば特定のフレットポジションで音抜けが悪くなる状況を表す単語なのですが、ウルフトーンというのは初めて知りました。デッドポイントが弦の振動と逆位相のボディーやネックの振動で音を打ち消すのに対して、ウルフトーンは弦振動を同位相で増強してピーキーな出音となる事のようです。

 実は新たなベースを某ベース専門店のネットショップ経由で購入していました。それは中古ではあったのですが、評価の高い米国の工房製なのでその出音に期待して購入し、宅配での到着後にアンプに繋ぎチェックを行いました。先ずは低音弦から弾いてみると良好なボディーやネックの鳴りを受けて、とても好みの低音が聞こえてきました。

 その後に1弦を弾いた途端に「あれっ?」と疑問を感じました。1弦の解放から8フレット(E♭)まで徐々に音抜けが悪くなり、逆に9フレット(E)はとてもハイが立った出音でそこからの高域は徐々に落ち着いていくという状態でした。特に8フレットと9フレットの1フレット間で、ベースのパッシブトーンを絞り気味から急にフルアップしたような大きな音質の差となっていました。

 「これはデッドポイントだ!」と感じたのですが。「まさかこのベースで・・・」とも考えて、購入時に張られていた弦を疑い、手持ちの新品弦に張り替えたのですが状態は変わらなかったので、デッドポイントが存在する事が明白になりました。

 デッドポイントへの対応でネックヘッドに重しを付けて共振振動数をずらす事も考えたのですが、それでは根本的な解消とはならないのと、買ったばかりだったので、ショップに返品する事にして、ショップの担当氏にその旨をメールしました。

 ここからのショップの対応は早かったです。「デットポイントのご指摘、申し訳ございません。一度店頭でも確認をさせて頂きたく、着払いでご返送ください。」との返信があり、返送しました。そしてショップでの検品後に「デッドポイントがあるのが確認できたので、キャンセル扱いにいたします。」との電話がありました。

 その際の担当氏とのやり取りで前述のウルフトーンという単語がでました。ショップにこのベースを中古で持ち込んだ前オーナーは「1弦9フレット(E)が飛び抜けて聞こえるのが気になった。」と述べていたそうです。

 結果的にはこの状態のままショップで販売されたという事になるのですが、私のクレームの指摘には「検品ミスでした。」と担当氏が述べられており、私的には何も問題無く終わった話です。(いやいや欲しかったベースが入手出来なかったという悔いは残っていますが・・・。)

 しかし今回の話を深掘りすると、《米国の有名工房製であるものの、明白なデッドポイント/ウルフトーン有りのベースが出荷されて、日本国内で販売された》 → 《前オーナーがウルフトーン有りと感じるベースを専門ショップに持ち込んだ》 → 《ショップはそのベースを仕入れて、(検品せずに or 検品したけど)そのまま販売した》 → 《私が購入してクレーム後に返品した》という経緯の様々な箇所に?を覚えます。



 その後、このベースは再販売されていました。ショップとしては一旦仕入れた商品は販売せねばならないので、当然の事でしょう。

 私の(長い)ベース歴の間で、ベース本体の問題として、デッドポイントでの返品はこれで2本目、JBスタイルのPUが新品時から逆位相で配線されていたものも2本ありました。後者は配線替えで対応したのですが、デッドポイントは解消する手立てが無いので、やはり最後に頼るべくは自分の《耳》という事になりますね。
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 お祭りイベントへの参加と並行して、今年からは2月に1度の定期的な箱ライブを行っているラテンバンドの熱狂楽団TAPASCONです。

熱帯楽団TAPASCON
[2019-11-25 22-42-11890]


 晩秋となり寒さを感じる日々ですが、この夜も会場内は熱かったです。店内のPAシステムを借りて、セルフでリハのセッティングをした後のステージではPAオペレーター無しとなるのですが、何度かライブをこなしたので、セッティングも頭に入っていて、客席への出音も良好になっています。

 大勢のお客さんと一体となったライブで、メンバーの顔もほころんでいます。

IMG_4133のコa


 このバンドでのライブは年内最後かな?といった状況なので、この夜の演奏をしっかりと楽しませていただきました。
 Tokai VSB60のベース本体の記事は終わったのですが、もう一つ記事にする事項が残っていました。それは、こちらのケースです。

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 これはVSB60の新品販売時(推測1981年)にファーストオーナーが同時購入していたTokaiの純正のハードケースです。当時は既に茶色のビニールレザーのギグバッグ(ソフトケースと呼ばれていました)が流通していたので、ハードケースを購入してベースを大事に保管したいというオーナーの思い入れが推測されます。

IMG_2034.jpg そのハードケースの内外装は正に当時のGibsonのイメージです。ゴージャスなピンクの内張りはまんまGibsonです。


IMG_2027.jpg メタルのTokaiのロゴプレートもGibsonライクです。(字体はFenderのスパロゴですが・・・)


IMG_2030_201909250911007fc.jpg ケースの状態ですが、金具の金メッキに少しの錆やクスミが見られるものの、全体的には40年近く前のケースとは思えない程に保存状態が良いです。傷が少なかったベース本体と同様に大切に扱われてきたのでしょう。


 今回のTokai VSB60の購入はケースを含めてとても良い買い物だったと思っています。現在ではジャパン・ヴィンテージと呼ばれるようになった楽器ですが、私個人的には何の思い入れも無く、保存状態の良いベースだからという理由での入手でした。しかし実際に触ってみるとなかなか味わいを感じる部分がある事が分かりました。最近はネットでTokaiや石ロゴのフェル、はたまたグネコ等々をチェックする毎日です。



 この1981年製と思われるTokai VSB60をケースも含めて考察すると、当時の楽器製造事情が浮かび上がってきます。70年代後半から日本の各メーカーはFenderやGibsonといった舶来物のフルコピー製品を作る事に注力し、その日本人の手先の器用さからオリジナルを凌ぐ性能を持つ楽器が出来上がり、80年代になるとこれに危惧した外国のメーカーからコピー製品を作るなとの訴訟が起こされ始めました。

 そこで日本のメーカーはフルコピー製品から脱却しようとオリジナリティーを持たせた楽器のデザインをスタートさせるのですが、このTokai VSB60はその過渡期に作られたベースなので、フルオリジナルとはならずに様々なメーカーの美味しいところ取りの仕上がりとなっています。私としてはそのTokaiの悩みっぷりが良く分かり、これはこれでカッコ良いのでは?と感じています。
 分離してチェック&メンテを行っていたネックとボディーを合体させ、弦を張り、各所のセットアップを行いました。仕上がった状態を眺めていると、派手過ぎない木目のフラットトップに必要最低限のパーツがポツポツと点在していて、ベースってこれで十分なんだと改めて感じさせられました。

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IMG_2014.jpg 何種類かの弦を試して決めた弦はFenderのフラット弦です。この弦に限らないのですが、元から4弦の出音は大きくて、各弦の出力に合わせるとピックアップは4弦側をボディーにグッと沈めたセッティングとなっています。PB用ピックアップはこのような各弦対応が可能なので良いですね。


 施したネック調整のお陰で、ネックはストレートから極僅かな順反りにセッティング出来ていて、気になるようなバズの発生は無く、弾き心地は良好です。しばらくは弦を張りっ放しで様子をうかがっているのですが、ネックはこのままのセッティングで安定してくれそうです。

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 デフォルトでは軽量ボディーの為にボディーが激鳴りだったのですが、工作精度の高いHip Shotペグとブリッジに交換した為か、幾分余分な鳴りは減少した感があります。それでもなおフツーのベースと比べると自分のお腹にブルブルと振動が伝わってきて、そのボディー鳴りはセミアコとまでは言わないものの、チェンバー(くり抜き)ボディーを弾いているのでは?と錯覚するほどです。

 仕上がった状態でのアンプからの出音ですが、軽量ペグを装着して総重量3.5kgとなっていて、とても軽やかでオープンな鳴りを感じます。と記すと芯の無いスカスカの出音をイメージするのですがそんな事は無くて、張っているフラットワウンド弦とは抜群の相性で、モチッとした低域から高域まで音程感があり、粒立ちの良いベースラインがアンプから聞こえてきます。出音のイメージとしたら、今流行りの(?)Vulfpeckっぽいと言えば分かり易いです。

IMG_1609.jpg これはメイプルの1ピースネックのせいでローが沈み過ぎないのと、十分なボディー鳴りに起因する豊かな弦振動を出力の強いピックアップがしっかりとキャッチしているのが要因かな?と考えます。


 電装系の電磁シールド化も好結果となり、手放し時のノイズが激減しています。電磁シールド化の際にはハイ落ちというデメリットを危惧したのですが、元からトーンポットを絞り加減にして使っていたので気になるような変化は感じられなかったです。

 いつでもデフォルトの状態に戻せるようにと選定したペグ・ブリッジ・ノブなのですが、機能やルックスはこちらの交換後の方が良いと感じていて、自分なりに満足できたモディファイとなっています。入手時のベース代金に交換パーツ代をプラスすると販売当時の定価と同等になったので、満足出来ないと困るのですが・・・。

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IMG_1971.jpg それにしても、入手時から状態が良かったものに更に磨きを掛けたので、アラフォーのベースとは思えない程に綺麗な状態となっています。とは言え、私は国産ベースにヴィンテージ価値を覚えないタイプなので(そもそも80年代のベースはヴィンテージではなくて単なるオールドですし・・・)、部屋内に置きっぱなしのベースとして、日々弾いていこうと考えています。


 以上でTokai VSB60のチェック&メンテの記事は終了です。小分けにして記事にしてきたのですが、実はキャビティー内の導電塗料の2回塗りの乾燥に2日掛けただけで、他の作業は丸1日で完了しています。仕上がったベースの状態にも、blogのネタとなった事にも満足したこの度のTokai VSB60の入手でした。
IMG_1352.jpg ペグに続きブリッジも交換しました。こちらはデフォルトのヴィンテージタイプのスパイラルサドルのブリッジ(ミリ規格)なのですが、他のパーツと見比べるとここだけがヴィンテージぽいのが似合わないと感じたのと、ニッケルメッキのクスミを落とすのが面倒だったので・・・(汗)。


IMG_2042_2019092508191873d.jpg 交換したのはペグと同メーカーのHip shot 4 Strings Vintage Bass Bridge 750(インチ規格・サドルピッチ19mm)で、デザイン的にはヴィンテージスタイルを周到しつつ、サドルの横滑り防止や弦交換の容易さ等現代的なアップデートが図られたブリッジです。こちらはクロームメッキなのですが、新品で入手した時点でメッキ表面に斜めの磨き傷がありました。


 ブリッジの構成パーツを磁石でチェックしたところ、1と4弦用のサドルはスチール製、2と3弦用サドルとブリッジプレートは磁性体ではないのでおそらくはブラス製と思われます。サドルの材質が異なっていたのは意外でしたが、メーカーの意図があるものと思われます。

IMG_1354.jpg 事前のリサーチでは無加工でポン付け出来ると思いきや、ミリとインチの僅かな規格の違いで取付けビス穴のピッチが5本のビスの両外間で、1mm程Hip shotの方が広かったです。両外で1mmなので片外のビス穴のピッチ違いは0.5mmとなり、無理して取り付ける事が出来なくもなかったのですが、ここは仕上がりの精度向上の為に、両外のビス穴2カ所を一旦埋め木しました。


IMG_1355.jpg 埋め木に0.5mmのピッチ違いの穴開けを行いました。穴周囲には皿面を取ったので、埋め木の跡は分からなくなっています。


IMG_2043.jpg ブリッジエンドでの弦の固定は、ブリッジプレート立上りの1・2弦側、3・4弦側のそれぞれのアクセス穴にピックアップ側から弦のボールエンド側を差し込み、横移動させて所定の位置にボールエンドを引掛けるというアイデアで、弦交換がとても素早くかつ楽に行えます。


 この大き目のアクセス穴開口の強度不足を補う為か、ブリッジプレートはFenderよりも肉厚となり、折り返しの天板もプラスされていて、トータルでブリッジ全体の剛性感が増しています。

 そしてこの弦の固定方法により、これまで弦交換の際に傷付き防止の為にブリッジ~ボディーエンド間に養生テープを貼っていたのが、これからは不要になりました。



IMG_1514_2019091114300603c.jpg デフォルトのコントロ―ルツマミはGibsonのバレル(樽型)ノブ・タイプだったのですが、黒くて大きなノブの存在感が強すぎたので、別のノブを取り付ける事にして、パーツ箱にストックしていた様々なノブと取っ替え引っ替えしてルックスのマッチングをチェックしました。


IMG_1973_201909250828157ce.jpg その結果、選んだのはパッケージにYAMAHAの記載のあったゴールドノブです。黒ノブよりも存在感が希薄になり、ボディーのサンバーストカラーにも馴染んでいます。


IMG_2038a.jpg このノブもGibsonスタイルなのですが、ツマミ周囲に滑り止めのエンボスがあり、操作性は良好です。Gibsonに見えて、実はYAMAHAというのもひねりが効いて良いポイントです(笑)。
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F-nie

Author:F-nie
回りまわって最後に辿り着いた、Vintage Fender Bass
とことん、追求しています。

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